
相続によって兄弟・親族間での共有となった不動産が,共有不動産の典型でしょう。そのほかにも,夫婦で共同購入した不動産等も共有名義となっていることがあります。
共有不動産の他人への賃貸など,共有不動産をどのように利用するかについては,共有者で話し合うことが必要となります。また,共有不動産を売却するには,共有者全員で話し合い,全員が同意することが必要です。共有不動産の固定資産税や都市計画税なども,毎年,共有者全員に課税され,誰がどのように納めるかについても共有者の話し合いが必要です。
共有者が同居していたり,交流が頻繁であったりするなど,コミュニケーションがとれているときはよいのですが,疎遠になった親族間や,一旦仲が悪くなった共有者間では,不動産の利用や売却の方針などについて意見が食い違い,共有していることが煩わしく思われる場合があります。共有者の一人が亡くなった場合は、更に共有者が増えていきます。共有状態が長くなればなるほど、話し合いをしなければならない共有者の人数は増え、お互いに会ったこともない状態となり、益々話し合いは困難になって行きます。
その煩わしい共有状態を解消するのが「共有不動産の分割」です。
不動産の共有状態を解消するには,「共有物の分割」をすることになります。
法律(民法258条)は,共有物の分割(=共有状態の解消)について次のように定めています。
「共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは,その分割を裁判所に請求することができる」
つまり,不動産の共有状態を解消するには,まず,共有者間でその解消法を話し合い,その話し合いがまとまらないときには,裁判で共有状態を解消できる(共有物分割の裁判)と定められているのです。
共有者同士の話し合いで不動産の共有状態を解消できればそれに越したことはありません。話し合いでの分割は,共有者の全員が同意していれば,どのようにしても自由です。たとえば,実際に土地を持ち分割割合で分けて(分筆して),分けた土地をそれぞれが単独で所有する方法があります。
また,共有者の一人が,他の共有者にお金を払ってその持ち分を買取り,単独所有とする方法もあります。共有者全員が話し合って,誰かほかの第三者に不動産売却して,その売却代金を分配する方法もあります。
話し合いよる共有状態の解消方法については>こちら
分割方法について共有者全員で話し合いができないときは,裁判で共有状態を解消することができます。
裁判による共有状態の解消方法については>こちら